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溶接接合業界ニュース

鶴盛工業、効率的な多品種少量生産、溶接士100人が活躍

 100人超の溶接士を雇用し、多能工化を進めることで、効率的な多品種少量生産進めている溶接事業所がある。自動車、建設機械、産業機械などの部品類を受注生産する鶴盛工業(横浜市鶴見区、松本克仁社長、神奈川県溶接協会会員)である。自動化の難しい多品種少量生産では、作業の高効率化が大きな課題となるが、同社ではロボットなどの導入ではなく、多能工化など溶接士のスキルアップを図ることで生産効率を向上し、事業を拡大する。
 同社は、従業員270人のうち約37%に相当する100人以上が溶接士。溶接だけでなく、溶接以外の技能も身に付けた多能工、職人に育成することでリーマンショックの時期を除いて20年近く右肩上がりで売上を伸ばしてきた。
 多能工化する最大の理由は、急な案件であっても柔軟に対応することができること。例えば、自動化製造ラインを構築していると、決められた部品は格安で製造することができるが、異なる部品形状への対応は難しい。
 しかし、同社であれば300個の部品製造の案件が急に舞い込んできても3工場合わせて100人以上の溶接士が在籍しているため、1人3個製造すれば対応が可能になる。ものづくりに精通した一人前の職人であれば、日常業務の一環として十分に対応できる数量である。そこで同社では、事業拡大に合わせて、溶接士の多能工化を進めてきた。
 さらに「工期が間に合わない他社業務」を助ける形で受注する急な案件は、対応できる企業が限られているため、必要以上にコストを下げて受注する必要がない。このため、現在では受注の2割程度がスポットの案件となり、同社の事業の大きな柱になっている。
 この様な業容に対応するため、同社の溶接士には1人1台の炭酸ガス半自動アーク溶接機、ティグ溶接機、2?四方の作業スペース(工房)が与えられる。4?5人が協力して製造することも多いが、同社の松本祐児専務取締役は「独立した100個以上の工房から、案件の都度、技能者が協力するような態勢を図っている」と話す。
 現在、溶接事業所においては技能者不足が大きな課題となっているが、同社が100人以上の溶接士を雇用できる理由は「未経験や中途採用など経歴を問わずに採用して育てている」ためである。
 未経験者は入社後、約1週間にわたり端材でテストピースを作成する。その後、難易度の低いT型鋼板のすみ肉溶接、次に製品の仮付、ナット補強の溶接、筐体などのティグ溶接、大型鋼板の炭酸ガス半自動アーク溶接と難易度を順に上げていく。これにより未経験者でも1ヵ月程度で溶接業務に加われるようになるという。
 同社が扱うのは板厚0・8?12?の鋼板が中心。このため「溶接距離が短く、溶接するだけならば比較的早い段階で仕事を覚える」という。
 ただ、同社では技能者が各自の作業スペースで組立てまで一貫して案件を担当することが多いため、多能工への成長が求められる。溶接士の腕に見合った難易度の案件が、常に工場内に複数流れているのも技能者育成の加速を後押ししている点だ。
 100人以上いる溶接士により、安定した継続受注の案件を安定してこなすことだけでなく、急な案件にも対応する。すると、工場内に流れる溶接案件の種類が豊富になり、多能工育成が加速するという両輪が、同社の事業を拡大させている。
 同社工場は全国に3拠点あり、石川工場では約120人、横浜工場は約60人、今年1月に近隣3拠点をまとめて完成した神奈川工場では約90人が勤務している。石川工場では観光バスなどの自動車部品、シャシ、フレーム部品や架装部品などを手掛ける。横浜工場では消防関連車両など特装車の薄板板金部品が中心で、神奈川工場では建設機械の部品、産業機械の部品を手掛けている。溶接ロボットも一部取入れているが、多品種小ロットの受注体制のため、技能者の力量がそのまま同社の生産力となる。

 


提供元:産報出版株式会社

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