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溶接接合業界ニュース

愛媛大学と川田工業、パルスガスマグ溶接開発

 愛媛大学と川田工業(東京・北区、川田忠裕社長)による共同研究グループは、スパッタの発生量が少なく、ガスコストを安価に抑える新しいガスシールドアーク溶接方法「パルスガスマグ溶接」を開発。現在、実用化に向けて産学連携による研究開発を進めている。
 新溶接方法は、ガスシールドアーク溶接における、炭酸ガスシールドガス中に、空気砲の様にパルス状にした微量のアルゴンガスの塊を1秒間に約50 回添加して、溶接時の溶滴移行を制御する。
 アルゴンガスの添加により、間欠的にアーク周辺を高濃度のアルゴンガス雰囲気にすることでワイヤ先端から落下する溶滴を小さくし、スパッタの発生を低減する。溶接中のスパッタ発生量を抑えるだけではなく、炭酸ガスシールドアーク溶接のように、なべ底状の深い溶け込みとなるのが特徴となる。
 同研究グループの水口隆准教授(愛媛大学大学院)はパルスガスマグ溶接の利点について「スパッタの発生量を抑えることで、スパッタ除去の工程削減が期待できるため、現場の作業量も減り、働き方改革にも貢献できる」と研究成果に期待を寄せる。
 スパッタの発生量を抑える一般的なガスシールドアーク溶接方法として炭酸ガスの代わりにアルゴンガス(80%)と炭酸ガス(20%)による混合ガスを使用するマグ溶接法があるが、高価なアルゴンガスの使用量が多く、炭酸ガスのみを使用する溶接法と比較すると、ボンベ比でガスコストが約3倍も高くなるという課題が指摘されている。
 これに対してパルスガスマグ溶接法は、通常のアルゴンガスと炭酸ガスの混合ガスによるマグ溶接法と比較して、アルゴンガスの使用量を4分の1以下にできるためガスコストの高騰も抑えることが可能になる。
 パルスガスマグ溶接は溶接トーチに2重構造の専用ノズルを取り付け、アウターノズルから炭酸ガスを定常的に流し、インナーノズルからアルゴンガスを添加する仕組み。
 パルス発振器を用いた電磁弁によってアルゴンガスの添加する量や間隔を制御する。同研究グループの藤原康平氏(川田工業橋梁事業部四国工場)は「この溶接方法は一般的な炭酸ガスシールドアーク溶接のシステムに専用ノズル、電磁弁、パルス発振器を追加することで構成が可能。既存の溶接システムへの導入が容易なのもメリットの一つ」と語り、実用化に向けた取り組みに意欲をみせる。
 現在、実用化に向けて、鉄骨などの製造を行う川田工業四国工場(香川県仲多度郡多度津町)では、実際の溶接工程においても適用可能な溶接条件の確立を目指し、各種実験が進められている。
 同社の津山忠久課長は「研究グループの中心メンバーである小原昌弘教授(愛媛大学大学院)に初めてパルスガスマグ溶接のアイデアを聞いたときから実用性が高く、魅力的な技術だと感じた。技術が確立されれば、当社のような鉄骨ファブをはじめ、ガスシールドアーク溶接を使用する多くの溶接事業所で普及が進むのではないか」と今後の展開に期待を寄せる。
 これに対して、小原教授は「炭酸ガスアーク溶接の利点をそのままに、スパッタの発生量を抑える溶接方法の確立は、溶接を必要とする物作り産業において長年の課題だった。研究中のパルスガスマグ溶接法の実用化を実現することで、ものづくり産業の発展に貢献したい」と実用化に向けた抱負を述べる。


提供元:産報出版株式会社

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