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溶接接合業界ニュース

熟練技能の習得に新たな動き  溶接技能のデータ化

溶接現場の中心的な役割を果たしてきた団塊世代の定年退職などにより、熟練溶接士の不足が大きな課題になっている。このため短期間で熟練技能を身に付けるような教育態勢が求められる中、溶接技術をデータ化することで対応する動きが出てきた。日立建機(東京・台東区)は溶接士の動きをカメラで撮影するなどしてデータ化し、若手の教育に活かすシステムに取り組む。パナソニック(大阪府門真市)は熟練溶接士がティーチングした動きを溶接ロボットに応用する。中小企業のノースヒルズ溶接工業(東大阪市)は自社にいる熟練溶接士のデータ化に取り組んでいる。技能伝承が難しくなる中、「技術のデータ化」が大きなトレンドになっている。
日立建機は土浦工場と常陸那珂臨港工場の熟練技能者と約20人の若手技能者を対象に、溶接作業中の動作を複数のカメラで撮影するとともに溶接電源・電圧、ワイヤ送給速度、作業中の視線も測り、データとして集めた。熟練溶接士と若手技能者とを比較する訓練システムに反映させる予定だ。
 パナソニックはVR(仮想現実)技術を活かし、溶接ロボットのティーチングに応用する。このほど発売した「バーチャルロボットプログラミングシステム」は、溶接士が動かしたトーチ動作をロボットで再現できるシステムだ。トーチ姿勢や運棒方法などの動作をロボットプログラムへ展開してデータ化し、これまで作業者がティーチペンダントで数値を打ち込んでいた作業から最大で60%程度の時間短縮につながるとしている。
 大手企業だけではなく、中小企業にも同様の動きが広がっている。ティグ溶接を主力とするノースヒルズ溶接工業は、自社の熟練溶接士の技術を数値化する試みを始めている。
 現状はメガネ型のカメラで撮影した溶接士の動作を3次元映像に落とし込んでいるところで、ほかに必要なデータを加えて、「手型ロボット」として商品化する構想だ。海洋プラントの水中溶接や極地での溶接、またドローンに搭載して雷で破損した風力発電の羽根の補修溶接など、人が作業するのが難しい場所での利用を見込んでいる。
 「技能伝承に利用したい」と思ったのが同技術を開発するきっかけとなった。複雑で繊細な動作の多い溶接作業で、一定の数値化ができれば、技能伝承に活かしやすい。
 同社の北坂規朗社長は「熟練技能者の代替わりに対応するために開発に取り組んでいる。溶接のデータ化がうまく行けば、塗装など他の技術にも応用したい」とし、今後の展開に大きな期待を寄せる。


提供元:産報出版株式会社

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