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溶接接合業界ニュース

マグネシウム溶接でドローン開発

◇専用ジグで全32個所を接合◇
軽くて高い強度を持つマグネシウムは次世代材料として高い注目を集めているが、同材料は溶接をはじめとする熱加工において、難加工材として知られる。ところが、このマグネシウムの溶接によってドローンを開発した企業がある。マグネシウム加工に特化したベンチャー企業マクルウ(静岡県富士宮市、安倍雅史社長)である。同ドローンの開発は、日本マグネシウム協会賞「技術賞」を受賞するなど、業界からも高い注目を集めている。
マグネシウムの溶接は一般に、融点が低く、熱伝導に優れるため熱膨張係数も高く、また、化学的に非常に活性な金属であるため、酸素があると高温で容易に酸化し、生じた酸化膜と酸化物は溶接においてはぬれ性を阻害する??などが指摘され、マグネシウムは難溶接材料の一つとして知られる。
 このため不活性ガスを用いて酸化が大きい溶融金属とその周辺を覆う必要があることからマグネシウムの溶接には一般にティグ溶接が使われるが、今回のドローンの開発においてもティグ溶接を採用。専用のジグを用いて板厚1・2mmの角パイプ部など全32個所をティグ溶接で施工している。
 溶接を採用したメリットについては「サイズや形状に対する自由度が高く、追加工も容易であるため」とする。マクルウではこれまで溶接棒や溶接ワイヤ、パイプ材など産業資材を中心にBtoBのビジネスを進めていたが、マグネシウム製スマートフォン用無電源スピーカー「バイオリン―Mg60」や福祉機器、インテリア用品などの開発に携わっている。今回のドローン開発は、これら蓄積した技術を基にして開発している。
 今回のドローンの開発にあたっては、マグネシウム溶接技術のほか、ドローン特有の屋外使用時に危惧される耐候性に対応するため、2層の粉体塗装を施すことで変色や劣化などに対応したことも特徴の一つとなる。
 マグネシウム合金は、実用金属の中で最も軽量で比強度が最大と言われ、材料のマグネシウムも地球上に豊富に存在する。軽量金属の代表格といえるアルミよりも軽い一方で、火災など切削加工時の発火リスクが伴うため高い加工技術を必要とする。
 しかし、同社ではこれまで工業分野では積極的に用いられることのなかったマグネシウムについて「新たな世界を切り拓くことで様々な問題解決や付加価値を創出する技術開発、製品開発を進めていきたい」としている。6月末に開催された日本マグネシウム協会主催の第2回技術講演会「マグネシウム製品の開発秘話と最前線」で安倍氏は講壇に立ち「ドローンの市場規模については、2015年時点で53億円だったが、22年には441億円になる」との見通しを示しながら「機体の機能として求められる強度と軽量の両立、耐候性はもちろんだが、コストやマグネシウムの安定調達といったマグネシウム加工専門企業ならではの一貫加工生産体制によるメリットを活かしながら顧客の課題解決に応えていきたい」と述べた。


提供元:産報出版株式会社

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