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溶接接合業界ニュース

清水建設、工事現場で溶接ロボ稼働

◎今秋から大阪の高層ビルに適用
清水建設は4月23日、今秋から高層ビル工事現場で鉄骨溶接など建設ロボットが稼働すると発表した。東京・江東区の同社技術研究所内に整備したロボット実験棟では、最先端技術を搭載した建設ロボットの自律制御に向けた実証を本格化している。これらのロボットは同社が開発したもので、資材の水平搬送、鉄骨柱の溶接、天井ボード貼り等の役割を担い、大阪市内で施工中の高層ビルへの適用が今秋に控える。来年度からは東京都内の大型現場を中心に稼働する。
 建設業界では、熟練の技能労働者の大量離職が懸念されており、入職者の確保と合わせて生産性の向上が喫緊の課題になっている。同社は、生産性の向上が賃金改善、休日増加などの処遇改善の鍵を握ると考え、国土交通省が生産性革命元年と定めた2016年初頭、ロボットと人がコラボしながら工事を進める次世代型生産システム「シミズスマートサイト」の開発に着手。10億円超を投じ、大学や異業種と連携を図りながら集中的に開発に取り組んだ結果、1年半後には基本的な開発を終え、今日に至っている。
 ロボット実験棟内で自律制御を実証しているロボットは、鉄骨柱の溶接ロボット「ロボ―ウエルダー」、資材の水平搬送ロボット「ロボ―キャリア」、天井や床材を施工する多能工ロボット「ロボ―バディ」。いずれも「シミズスマートサイト」の主要な構成要素であり、タブレット端末から作業指示を受けて自律的に稼働する。
 この実験棟では、各ロボットが様々なパターンの作業指示に対して、自律制御で対応できることの確認や作業動作のプログラミング調整を行っている。
 一対で稼働する「ロボ―ウエルダー」は、開先形状をレーザ計測により認識し、溶接の手順等の条件を決定し、6軸のロボットアームを自在に動かしながら溶接作業を行う。実験棟では、大阪市の高層ビルで採用している鉄骨の開先への対応確認に加え、開先の形状を変えながら機能を実証している。
 「ロボ―キャリア」は、搬送する資材の選択と搬送先がタブレットから入力されると、仮設エレベーターと連携して無人で資材を指定された搬送先に運搬する。途中、障害物を認識すると回避するルートを自ら再設定するとともに、人が近づくと衝突防止機能により停止する。自己の所在位置は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)から取得する空間形状情報とレーザセンサがリアルタイムに取得する空間形状情報を照合して認識する。実験棟では、総重量約1?の石膏ボードを載せたパレットを揚重して仮設エレベーター内まで搬送し、パレットごと荷下ろしする作業、エレベーター内でパレットを再び揚重して指定場所まで搬送する作業の確認を繰り返している。
 2本の6軸のロボットアームを自在に操る「ロボ―バディ」は、各種センサで天井ボードをビス留めする格子状の下地材の位置を認識した後、一方のアームで天井ボードを持ち上げて取り付け位置に合わせ、他方のアームでボードを下地材にビス留めしていく。実験棟では、大阪市の高層ビルのボード貼り条件への対応確認、異なる施工条件下での機能確認を進めている。
 「シミズスマートサイト」の適用現場では、基礎工事終了後、建物をすっぽり覆う全天候軽量屋根「全天候カバー」を組み立て、その中に設置された新型クレーンが鉄骨の柱・梁を順に所定の位置に吊り込み、「ロボ―ウエルダー」が柱を溶接しながら躯体工事が進む。下層階からは「ロボ―バディ」が最終工程となる天井、床を仕上げていく。現場に搬入された資材は、夜のうちに、「ロボ―キャリア」を核とする水平・垂直搬送ロボットにより所定の作業階に搬送・仮置きされた後、「ロボ―バディ」の作業場所まで搬送される。自動搬送の導入により、仕上げ技能者が取付作業に専念することができ、生産性が向上する。


提供元:産報出版株式会社

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