会員登録 ログイン

ホーム > 溶接接合業界ニュース > 船技協、開発成果を紹介●造船工場の見える化システム

溶接接合業界ニュース

船技協、開発成果を紹介●造船工場の見える化システム

 日本船舶技術研究協会は9月14日、東京・港区の日本財団ビルで造船工場の見える化システムに関する技術セミナーを開催した。船舶建造工程管理の革新を目指し、船技研が日本財団の助成を受けて取り組む、造船現場の小組工程の作業者の動きと作業内容をビデオ画像分析などによる「見える化」するためのシステム開発の成果を報告。また、造船現場でのシステム活用に関する検討事例や関連する新たなICT(情報通信技術)について紹介する企画に造船、舶用機器メーカー、ITシステム会社など約150人が受講した。
 同システムは現段階で、小組立工場での溶接・グラインダー・ガウジングなどの作業識別や作業者の移動軌跡の解析が可能となっている。
 船技協では将来展開の可能性について、今後ブロックなどモノの移動の把握、スマートグラスやQRコードなどモニタリング情報を追加することで中組・大組の作業の見える化を行うことができると指摘する。作業者がスマートウォッチなどのウェアラブルPCを携帯することにより、作業者の体温や脈拍などのデータを取得し、作業者の健康管理を行うことも可能。また、計画と見える化システムの解析結果を準リアルタイムで対比させることにより、作業の遅れの把握と適切な対応を迅速に行うことができるとしている。
 「造船の見える化からCPS(サイバー・フィジカル・システム)へ」と題して基調講演を行った東京大学大学院の青山和浩教授は、造船所で作業実績の詳細を適切に把握するためのツールとしてのCPS、具体的にはサイバー空間上の建造シミュレーションと、現実の建造工程のモニタリングによる建造革新をあわせた生産システム構築の必要性にふれ、現実の建造工程をモニタリングできる「見える化」の実用化が期待される状況を説明。実用化によって、船舶建造マネジメントシステムのPDCAサイクルの中の重要な構成要素(チェック)を構築できると話した。
 また、「私の取り組むところで溶接も重要な部分であり、そこにはこだわって溶接の認識を進めた」としたうえで、人の動きや溶接個所などヒートマップによってどこで溶接が数多く行われているかみえると解説。モニタリングシステムは作業者のためのシステムであり「高い生産性、品質を実現するのは作業者であり、作業者のための労働安全向上は必須」と述べた。


提供元:産報出版株式会社

溶接接合業界ニュース一覧ページへ

このページのトップへ