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外国人技能実習生戻る

 外国人技能実習生が日本に戻っ来ている。しかし、技能実習制度の活用が復活の兆しをみせる一方で、凍結していた「特定技能制度への一本化」「円安問題」「技能実習生の失踪」など、山積みの課題も顕在化しつつあり、技能実習制度の改正なども検討されている。新型コロナウイルスの水際対策緩和される中での外国人技能実習生の現状に迫った。
 現在、技能実習制度について高い注目を集めているのが、昨年12月14日に政府が実施した有識者会議の議案である「技能実習制度を特定技能に一本化するか否か」についてだ。これに対してある監理団体は「一本化の話題は注視しているが、現状では、一定の企業で技術を習得できるという重要な要素がある技能実習制度の全要素を廃止し、単純に特定技能に一本化される可能性は低いと見ており、それだけに優良な監理団体の責任も大きくなる」と話す。
 技能実習制度が「技術・技能を教える」目的で外国人を受け入れるのに対して、特定技能は「労働力」として受け入れる制度となる。特定技能であれば、雇用側の日本企業が求めている「技能を保有した人材の確保」には繋がりやすくなるが、特定技能で就業した外国人側にも働きたい企業で働くことが認められるため、「転職」が可能となる。そこで、齟齬のないマッチングの重要性は今後、格段に高くなっていくことが推測される。
 特定技能で働く専門性を持った技能を保有している外国人材を繋ぎとめる難易度は高い。現在の仕組みでは「3年もしくは5年の技能実習期間を経て、技能を伝承した外国人材と、信頼関係を構築した上で、特定技能で再雇用する」ことができるため、技能実習制度の位置づけは大きく、信頼関係が成り立った上で再雇用できるメリットは大きい。
 一方、一本化の進捗とは関係なく、日本企業と外国人材のマッチング精度を上げていく必要があることは事実だ。日本ではベトナム人技能実習生の受け入れが進んでいるが、円安の影響もあり、現在、日本就業の志望者が激減しているという。このためベトナム人の入国者数はピーク時の半数程度まで減少しており、これに対して監理団体ではインドネシア人など別の国のからの受け入れ事業を検討・展開する動きが出てきている。
 技能習得などの目的はあっても、多くの場合、来日する外国人が求めているのは少なからず「自国よりも高い賃金」であり「より良い労働環境」である。日本の賃金が中国や韓国などと大差がなくなってきたこともあり、東南アジア圏の人材から「選ばれる企業」である必要がある。
 ある監理団体の調査によると、外国人から選ばれている企業は「残業代・時間の取り決め」はもちろんのこと「単純作業だけでなく作業に学びがあること」、また、「日本語学習のサポート」や「メンタル面のケア」、「社員同士のコミュニケーション」などにも注力している企業となる。実習生同士はSNSなどでの繋がりが強いため、口コミなどで会社の評価も広がり人材獲得の明暗が分かれていくことが予想される。これは日本人雇用でも同様であるため、条件を明確化して人材を教育する心構えは産業区分に関係なく全企業で重要といえる。 
 具体的に、実習生から聞こえてくる「技能実習をして良かった企業」の事例をみると、「定期的に買い物に連れていったもらう機会があり、車の中で雑談することが楽しかった」、「京都などへの社員旅行で日本文化に触れた」、「地域の祭りやバーベキュー大会に参加し日本人と交流を図ることで多くの友人ができた」などがあがっており、孤独にならないような双方のコミュニケーションの大切さが窺える。また、イスラム圏などの人材の場合は食べ物やお祈りの時間など、日本とは異なる文化であっても「国籍によっては重要な事項」も多くあるため、できるだけその国の文化や宗教などを尊重することも重要なポイントであろう。


提供元:産報出版株式会社

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