金属AM(積層造形)技術を活用した製品が宇宙や生命の起源を探る研究にも利用が拡大している。
国立天文台はこのほど、金属AM装置を用いてアルマ望遠鏡バンド1受信機に搭載する部品である「コルゲートホーン」の製作に成功した。「コルゲートホーン」が組み込まれた受信機はアルマ望遠鏡に搭載される予定で、電波天文学において、金属AM装置によって製作された初の部品を組み込んだ高感度受信機が誕生する。
研究では2019年に国立天文台先端技術センターに導入した金属AM装置を使用。形時の様々なパラメータなどを工夫し、従来の切削加工によるものと同等に使用可能な金属AM装置の「コルゲートホーン」を生み出した。
アルマ望遠鏡は、チリ共和国にある国際的な天文観測施設で、建設と運用を日本の国立天文台が東アジアを代表して実施している。
アルマ望遠鏡は人間の目には見えない、ガスや塵から発せられるミリ波・サブミリ波を観測することで、ガスや塵の分布や動き・性質などを調べることが可能。ガスや塵は恒星や惑星の材料であるため、恒星や惑星がどのようにして生まれるのか、それらの集合体である銀河がどのように生まれ、進化してきたのかを調べる研究などに活用される。また、宇宙を漂うガスの成分を調べ、生命の起源に関連するアミノ酸のような有機分子を探索する研究も進められている。
提供元:産報出版株式会社