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溶接接合業界ニュース

矢田工業、溶接と塗装は橋梁製造の要

 矢田工業(福島県郡山市、成田正樹社長)は、宮城県南三陸町の復興シンボルとして架けられた「中橋」をはじめ、東京都品川区の「潮風橋」など意匠性の高い多くの橋梁製造・施工を行っている。「中橋」は、南三陸町が隈研吾建築都市設計事務所などにグランドデザインを依頼したもの。南三陸産の杉を使用し上下2層構造(ダブルデッキ)の床版で鋼パイプトラス形式を採用した橋梁で、同社は「令和2年度土木学会田中賞作品賞」を受賞している。
 生産管理部管理課の中島大輔次長は「 顧客第一の企業ポリシーで、多くのニーズに対応してきた。前例のない橋梁を試行錯誤し製造する中で当社の技術力が高まり、意匠性の高い橋梁を数多く手掛けるようになった」という。
 同社は1949年に矢田工業所として創業。建設機械の修理からスタートし、橋梁、建築鉄骨の分野に進出。建築の分野では福島空港や郡山市の日本大学工学部などを手掛け、現在では橋梁を主軸 に、 鋼構造物における最先端の技術を導入し「いい橋をつくる」をモットーに、地元福島から全国各地まで2523橋・8万6695・88?(2022年8月10日現在)の実績を積み重ねている。
 「設計から製造・施工までを一貫して自社で行う総合力が強みだ」と中島氏はいう。ある案件でベテラン検査官に全ての溶接ビードを指でなぞられ、複数の指摘を受けた。その指摘の中には、仕様書の要求を満足しているものもあったが、検査官から求められる品質レベルが非常に高く、その要求に答えるべく、熱意とプライドを懸けて、製品造りに取り組んだ。そして、その後も数回行われた検査の中で、そのベテラン検査官から 「日本で一番きれいな溶接ビードだ」と認められた。 そのような経験を経て「溶接は会社の技術力を示す指標」と中島氏は考えるようになった。
 その溶接について、尊敬する上司の言葉で「溶接はセンスで半分が決まる」というのが胸に残っている(中島氏)。同社は新入社員研修で全部署を体験させるが、センスの光る新入社員には本人の希望を考慮しながらも溶接の部署を勧めるという。また本人のやる気も重要だ。
 2021年に入社した渡邉知奈さんは、職場見学に参加した際に案内してもらった工場で、もの造りへの魅力を感じたという。その後女性である同氏は事務職で入社したが、職場見学で感じたもの造りへの思いを諦められず、工場での研修も希望。そして、本人のやる気を考慮し、会社では初となる女性溶接工として職人の道を歩むに至った。
 「現在、本溶接に携わるエース級は7人いるがどこに出しても恥ずかしくない。過去のコンクールで好成績者を輩出するほど溶接技能向上に注力している」(中島氏)という。溶接関連の資格を有する社員は40人程だが、将来の事業展開を見据えて大学生のインターン受け入れや、行政や建設協会 と協力し工業高校の生徒の橋梁見学なども行っている。
 溶接ロボットなどもいち早く導入しているが「橋梁は人による溶接が多いため、今後とも人材育成に注力していく」(中島氏)とし、新入社員にはマンツーマンでベテランが対応し、質疑応答のノートを毎日欠かさず交換するOJTを行っている。
 溶接とともに橋梁製造において重要な工程が塗装だ。「我々が目指すいい橋は、ただ美しい橋ではない。決められた仕様の中で、どこまで長寿命化できるのか、ということがテーマであり、『中橋』などのシンボル的な橋梁は地域の人々に長く愛されることから、美しい橋をできるだけ美しいまま残すことができてこそ、いい橋を造ったと言える。そのためには塗装品質を上げるとともに、施工環境改善を図り冬場の低温時の塗装にも対応していかなければならない」と中島氏はいう。郡山市は極端な低温になることはないが、冬場の塗装現場の温度管理と作業安全確保は必須となる。
 そこで同社では、新たにアンデックスのプッシュプル型換気装置を備えた新型アコーディオン式塗装ブース(メリットVH)を導入した。アコーディオン式のため橋梁の大型ワークの搬入出が容易に行え、作業効率の向上に貢献する。また、プレヒート機能を備えているため部材全体が均一に温まり、冬場でも始業時から塗装を行うことが可能だ。
 「橋梁は作品であるという思いで製造しており、その思いに塗装分野で真摯に応えてくれたのがアンデックスだ。安全に塗装作業ができるとともに、高い品質が担保でき、ランニングコストの低減に貢献するとし、アンデックス製品の導入を決定した。ニーズに合わせ柔軟な設計が可能なこともアンデックスの魅力だ」(中島氏)と高い信頼を寄せている。
 アンデックスは、自動車用補修塗装ブースで高いシェアを誇るとともに、航空機や鉄道車両、建設機械分野でも多くの納入実績を持つ。7月の2022国際ウエルディングショーでは、空間換気システム「ヒュームダストコレクターADC―BP」の実演を行い、溶接ヒューム対策に関心のある参観者から注目を集めた。同社の「空間を仕切る・区切る提案」には定評があり、現場条件に合わせたオリジナル設計により換気に関する課題解決を行っている。
 中島氏は今後の橋梁製造について「意匠性の高い橋梁が増えることを予想しており、塗装や溶接のニーズが今後とも高まってくる。今後とも全社一丸となりいい橋を造り後世に残すことが当社の使命だ」と意気込みを語った。


提供元:産報出版株式会社

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