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溶接接合業界ニュース

インフラ支える溶接技能

 近年、社会インフラやプラントなどの老朽化が進行し、更新や新設工事の必要性が高まるなか、インフラ設備などに使用される多くの構造物において製缶・鋼管溶接が不可欠であるが、その品質は溶接士の技能によって支えられている。高度な製缶・鋼管溶接によって社会や経済活動に不可欠な製品を作り上げる溶接事業所の品質向上に向けた取り組みを取材した。
あらゆる活動の源となる水は水輸送用塗膜装鋼管や水管橋など鋼管の溶接によって製造された構造物を通して社会に届けられる。
 福本鐵工・臨海工場(福島県いわき市)では80Aの中型から3000Aという超大型鋼管までの幅広いサイズの製品を製造し、水輸送用塗膜装鋼管および異形管、水管橋など水に関わる鋼管が生産の多くを占める。日本水道協会の検査品となる検査会社が実施する放射線透過検査(RT)の3類以上合格する必要があるなど高い溶接品質が求められるが、同社では更にきず点数の許容限度が厳しい2類を合格基準としており、溶接をはじめとする高品質な加工技術により、ユーザーからの信頼を得ている。
 同社の溶接品質を支えるのは2021年度福島県溶接技術競技会(アーク溶接)で優勝の白鳥徹也氏など高度な技能と向上心を持つ溶接士だ。
 同社では製品mp品質向上に向けた溶接教育の一環として様々な溶接競技会に積極的に参加しているのが特徴で、福島県溶接技術競技会のほか、11年度にはボイラー溶接士溶接技能競技全国大会でも優勝者を輩出するなど、大きな成果を得ている。1989年度ボイラー溶接士溶接技能競技全国大会で優勝経験を持つ、佐々木清氏は「溶接競技会の参加は職場内の技能向上の機運に繋がる」とする。
 同社では高い技量を持つ溶接士による技とサブマージ溶接による自動溶接に加えて、切断などの前加工や表面処理や塗装に至るまでの工程を自動・省力化した設備を組み合わせることで高品質で生産。水という生活と経済活動に必須な社会インフラの利活用と安全を支えている。
 製缶・鋼管の溶接技能は多くの産業分野のプラントや公共施設などに使用される圧力容器の製作にも欠かせない。伊藤製缶工業(札幌市・西区)では製缶溶接技術などを生かした圧力容器の製造実績が北海道内でもトップクラスの納入実績を誇り、第1種圧力容器は5500基以上、第2種圧力容器の5700基以上となる。圧力容器は多種多様でかつ密封性と安全性が求められる構造物であり、同社に併設された165平方メートルの検査場で行うボイラ協会などによる検査、構造・溶接・水圧検査などを突破したものが出荷される。
 同社では数?から3?程度まで構造物のサイズを限定せずに対応することが可能だが、受注が多いのは大型構造物で、半自動溶接、ティグ溶接などを駆使し、製造にあたっている。圧力容器などの製品を作るためには、技量にくわえ、資格も欠かせないため、同社では溶接士には普通・特別ボイラ溶接士をはじめとして多くの資格を取得させている。また、JISの溶接資格も積極的に取得させることで、個々の技量の維持・向上に努めている。
 製缶と鋼管に関わる溶接技術は鉄道設備など交通インフラに関わる構造物でも生かされている。イヅミ工業(大阪・八尾市)は製缶と鋼管の加工技術を生かして、「鋼管ビーム」など「電車線支持物」の製造を手がける。「電車線支持物」とはき電線・電車線のほか配電線などの架線類を支持する柱で、パンタグラフによる集電に支障をきたさないよう電車線の高さと偏位を一定の範囲に保つための機能を持つ構造物。様々な形式や構造があり、同社で製造する電車支持物は鋼管を使用した「鋼管ビーム」と呼ばれる製品多く、フランジなどをサポートにしながら炭素鋼の鋼管を接合して製造する。口径は200から300Aの鋼管が主要な大きさで長さは5メートルを超える長尺ものが多く、中厚(約10ミリ)の製品を半自動溶接で接合する箇所が多く、溶接士に対して半自動溶の中板のJIS溶接評価試験の「2F」に加えて、専門級「2H」の取得を推奨する。
 同社の出原大輝氏は「受注の要件では基本級で良いとするケースもすくなくないが、溶接士が専門級まで取得できる技能を修めることで製品の溶接品質も高まる」と意図を語る。同社では溶接の品質向上に加えて、レーザ加工機や自動パイプ切断機など高機能の自動・省力化機械を導入することで高品質で内製化できる部分を増やす取り組みも推進し、製品全体の品質を高める生産体制を構築している。


提供元:産報出版株式会社

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