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溶接接合業界ニュース

自動車部品の異種材料接合、マルチマテリアル化踏まえ技術開発進む

 電気自動車(EV)や水素燃料電池自動車(FCV)の開発が進み、自動車産業界は「100年に一度」の大転換点を迎えている。中でも高い注目を集めているのは、リチウムイオン電池やモータなどのEVやFCVなどの従来のガソリン車にはない部品類である。電動であることから銅合金やアルミ合金などによる電気部品が増え、合わせて航続距離などの問題から部品レベルでの軽量化も求められる。このため車体と動揺に自動車部品においてもマルチマテリアル化が求められてきている。その重要な要素となる異種材料接合の新技術を追った。
 EV部品は電池・モータ周辺部品で銅合金やステンレス鋼などを接合する場面が多く、レーザ技術を活用した異種材接合技術の開発が進む。
 住友重機械工業(東京・品川区)は、ナノ秒パルスレーザの持つ10?ワット以上の高ピーク出力のレーザを短時間・高繰り返しで照射することで、くい打ちのような状態を作り出し、アンカー効果によって、異なる金属同士を接合させるレーザプロセス「ステーキング加工」を開発。
 EV用電池では、銅合金とアルミ合金、銅合金とステンレス鋼など異種材料接合のニーズが高まってきているが、高出力レーザを短時間照射する従来の方法では、溶融部が攪拌され、金属間化合物が発生する課題がみられた。
 ステーキング加工は、ナノ秒パルスレーザの持つ10?ワット以上の高ピーク出力のレーザを短時間・高繰り返しで照射することで、くい打ちのような状態を作り出し、アンカー効果によって、異なる金属同士を接合する。このため、金属間化合物の生成原因である、投入熱量と溶融時間のどちらも抑えることができ、金属間化合物の生成を抑える。
 電気的接続が求められる個所への採用が進んでいるが、中でも裏抜けが許されない、バッテリータブの溶接などに適用が拡がっている。
 クラッチなどの自動車部品の製造を手がけるエフ・シー・シー(浜松市北区)では駆動系部品向けに母材を溶かさない固相接合技術である「リングマッシ接合」により、異種材料の直接接合技術を確立した。
 同技術は電気抵抗溶接の一種で、通電による電気抵抗熱で接合部を軟化・圧接する仕組みで、0・1秒以下の時間で素材の接合が可能。固相接合の原理で全周を同時接合することでひずみ抑えた高精度な溶接を可能にする。同技術をモータケースやシャフト、箱型ケースに適用することで軽量化や材料費削減の効果が期待される
 同社の関係者は「母材を溶かすことなく加工するため、融点の異なる金属同士の接合が可能。自動車業界でニーズが高い鉄鋼とアルミ合金などの異種材接合ができるほか、EVの普及をにらみ電子部品での適用が多い銅合金とアルミ合金を接合する研究を進めている」と今後の展開に期待を寄せる。
 島津製作所(京都市、中京区)は、超音波による探傷検査を光学的に検知することで表層付近の隠れた溶接欠陥などを可視化できる超音波光探傷装置「MIV―500」を開発した。
 同社の担当者は「同装置は従来の超音波探傷では不感域となる表面近傍の欠陥検出に長があり、一度に検査可能な範囲も広く、薄板の欠陥検出に適している。既に自動車産業での適用拡大が期待されるハイテン材とアルミの薄板をFSWで異種材接合した際の接合部における欠陥の可視化に効果がある」と異種材料接合部の可視化を強調する。
 その一方、検査できる範囲が表面近傍に限られるため厚板の深い部分にある欠陥検出には不向きで、従来の超音波探傷検査やX線による透過検査など従来からある検査方法とも組み合わせた多角的な評価が異種材接合における品質保証の鍵となりそうだ。


提供元:産報出版株式会社

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