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溶接接合業界ニュース

人とロボットのパートナーで溶接、協働ロボット導入の新時代

 今年大きな注目を集めた溶接技術の一つに協働ロボットがある。協働ロボットは、人の代わりにロボットが働くのではなく、人と一緒にロボットが働くことでより高度で柔軟な作業ができるようにし、「同じ職場で働くパートナーと位置づける」ものだ。2013年の規制緩和で条件を満たせば出力80ワット以上の産業用ロボットでも人と同じ産業スペースでも導入できるようになったことによる。ただ、溶接はアークやスパッタが発生するため、人とロボットが協働は難しいが、作業スペースの有効活用など溶接ロボットと人が協働するメリットは大きい。人とロボットが協働する溶接現場の取り組みを追った。


 大手造船事業者の1社であるジャパン・マリン・ユナイテッドでは、多くの溶接士が船舶を製造するために溶接作業に従事してしており、その工程の一つを自動化している。その自動溶接ロボット設備を、同社ではこのほど、近場で作業する技能者の邪魔にならないように協働できる新設備として開発・導入した。
 開発されたのは「アーク光自動追尾式裏当て自走台車を用いたプラズマ溶接装置」。具体的には、プラズマ溶接台車が開先位置を検出し、溶接するべきポイントを把握しながら母材上に設置したレールを倣って走行。開先位置およびギャップ量を0・1ミリの精度で検出しながら、電極の位置および溶接条件を自動で調節しながら溶接を行う。
 また、バックシールド用の走行台車が母材の下を走行する。同走行台車は裏ビード撮影用カメラとバックシールド用の水冷銅板を搭載しており、プラズマ溶接台車に追従し、バックシールドを維持している。オペレーターは開先検出モニタおよび裏ビード確認用のモニタにより、開先の位置や裏ビードの形状およびキーホール発生時のアーク反射光を確認しながら条件を調整することが可能である。
 先端技術の一つであるファイバーレーザの導入も検討されてはいたが、設備導入コストが安価であり、ギャップ裕度が1ミリ程度と比較的広く、光を遮断する囲いなどを用意する必要がないことを理由に、プラズマ溶接を駆使した協働ロボットの設備となった。
 新潟県燕市で1964年に創業した溶接事業者である本間技工。同社で手がける高級ブランド包丁はまず、もなか状に加工された2枚のステンレス板を仮付け点溶接で固定。その後、ティグ溶接で接合して柄の部分を作成する。次に異種金属である柄と刃の部分をティグ溶接で接合した後、外注の協力会社による焼入れ工程で強度を向上する。戻ってきた包丁の柄部分の溶接ビードをレース研磨で粗削りし仕上げ。この一連の工程で必要な溶接業務を「職人の手作業でなくては達成しない業務」と、「溶接ロボットが得意な業務」に仕分けした。
 徹底的に溶接士の手作業に近ずけて設定したティグ溶接ロボットを11セット導入し、1セットのロボットに操作・補助する溶接技能者が1人つくことで協働体勢を整える。熟練溶接士が全行程を担当していた時期と比較して、刃物の最大生産量が月に2万5千本から6万本程度まで向上した。


提供元:産報出版株式会社

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