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溶接接合業界ニュース

鉄骨の溶接がSDGs認定「ハイスキップ構法」

 ガセットプレートの断続隅肉溶接による溶接の合理化技術である「ハイスキップ構法」(開発・販売=ハイスキップ)が建築鉄骨製作における二酸化炭素の排出や溶接ヒュームの発生を抑える技術として鉄骨ファブ、ゼネコン、設計事務所などから注目を集めている。同技術は、大分市水道局庁舎増築工事や行橋市図書館新築工事などで施工実績を積み重ねるほか、今年3月には竹中工務店大阪本店で説明会も開催している。また、労働生産性向上への寄与に加えて、環境保全にも貢献可能な技術として昨年10月には日本SDGs協会よりSDGs事業として認定を受けており、溶接が持続可能な社会に対応していく上でのモデルケースとなることも期待されている。
 昨年、福岡工場が国土交通省大臣認定工場のHグレードに昇格し、今年には栃木県の宇都宮工場がMグレードの認定を受けるなど成長著しい鉄骨ファブの山口重工業(福岡市博多区・山口豊和社長、福岡県溶接協会会員)は約20件の案件で同技術を適用。同社の山口社長は「大型物流倉庫など同技術の効果の高い大型の鉄骨を使用する物件での使用実績が増加している。適用した物件のゼネコンや設計事務所からの評価も高く、リピーターも多い」と同技術の有用性を語る。
 東鉄工業(大分県大分市、足立高浩社長、大分県溶接協会会員、同Mグレード)は溶接の合理化による品質向上や二酸化炭素削減への取り組みを強化している鉄骨ファブの一つで高能率アーク溶接システムの導入や生産性が高い工法の適用を進めている。同社は同技術の開発にも関わっており、同技術の溶接の施工や検査などの実証実験を同社が担当し、太田旗店三川工場の新築工事をはじめ、20件以上の案件で同技術を適用した実績を持つ。
 同社の足立社長は「鉄骨ファブもSDGsに代表される環境保全の配慮した技術がなければ時代の流れに淘汰されてしまう。同技術のように鉄骨ファブ側から提案ができる二酸化炭素削減の技術は価値がある。同社でも同技術による合理化の効果の高い案件では同技術の採用をユーザーへ提案を行っている」と語る。
 東北地方の有力鉄骨ファブであるカガヤ(岩手県盛岡市、加賀谷浩一社長、岩手県溶接協会会員、同Hグレード)も同技術を高く評価する事業所の一つ。カガヤが11月に同社内で開催した「第26回カガヤ姫神塾」において山本氏を講師に招き、同技術を紹介した際には鉄骨ファブの関係者を中心に社外からも多くの出席者が参加するなど、高い関心を集めた。同社の関係者は「グループ会社が施工会社なった案件では既に同技術を適用した実績があり、鉄骨製作の事業でも同技術を使用していく予定」とする。
 同技術は小梁ガセットプレートの溶接に断続隅肉溶接を適用することで剛性や強度などの構造性能を全周隅肉溶接によって接合した場合と同等ながら、工数や作業時間を大幅に削減することを実現した溶接の合理化技術。鉄骨のサイズや構造物の大きさによっても合理化の効果は異なるが3?4割ほど生産性が向上した鉄骨構造物もあるという。
 同技術の開発者でハイスキップの取締役である山本茂己氏は「この技術はウェブの長さが長い鉄骨ほど工数削減の効果があるため、大梁せいの大きい鉄骨構造物ではより生産性向上の効果が大きくなる」とする。
 溶接を合理化することで大梁にかかる入熱量も減少し、溶接ひずみによる変形も抑制可能なため、ひずみを直す後工程の手間も低減できる効果もある。そのために、従来のガセットプレートを全周隅肉溶接で接合したことにより、大梁がひずみで大きく変形してしまい、直しの後工程に手間がかかるという鉄骨製作の悩みも解消できる。
 また、作業時間などを合理化することで溶接中の電力消費量や排出される二酸化炭素削減効果に加えて、溶接ヒュームの発生量も低減することが期待されており、「溶接ヒュームについて、労働安全衛生法施工令、特定化学物質障害予防規則(特化則)改正など対応に悩む、鉄骨ファブも多いと聞いている。人と環境、双方に優しい溶接技術である同技術を是非活用して欲しい」と山本氏は語る。
 同技術はハイスキップの特許工法であるため、採用する場合は年間使用料などのライセンス契約は必要だが、専用の装置などを新たに揃える必要はないので、既存の鉄骨ファブにとっては導入が容易なのも特徴だ。同技術は導入しやすいのに加えて、得られるメリットが大きいことから鉄骨ファブやゼネコンなどからの注目を集めており、現在約100件の案件で鉄骨製作に使用されるなど広がりを見せる。


提供元:産報出版株式会社

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