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溶接接合業界ニュース

外国人溶接士、ものづくり現場の貴重な戦力に

 外国人技能実習生が日本企業で溶接技術を学び労働する中で、全国で開催されている溶接競技会に入賞するレベルまで習熟するといったケースが散見されるようになるなど、外国人溶接士がものづくり現場における貴重な戦力として活躍する場が目立ってきている。外国人技能実習生を受け入れ、技能教育を施した結果、技能者として成熟させることに成功した企業や個人の取り組みに触れる。
 今年5月に開催された広島県溶接技術競技会で、被覆アーク溶接の部で4位入賞となったチャン・バン・ディンさん(以下:ディンさん)は、今年初頭から広島県西区の吉田(吉田高宏社長)で溶接を学ぶベトナム人技能実習生だ。同社は溶接技術を駆使した消防設備の製造を生業としており、多くの技能実習生に溶接教育を施す上で、独自のユニークな方法を見つけたという。
 その方法は、多岐にわたる溶接作業を一工程ずつに分解し、それぞれを一連の「型」として一つずつ習得するというものだ。複雑な溶接作業工程も、一つずつならば真似をする難易度も下がるため、「工程を分解して一つずつ教育する取り組み」は、遠回りに見えて技能習得の時間を短縮できる。同社の吉田社長は「当社では12人の技能実習生を受け入れており、技能教育の一環として見つけた方法だ」と話す。複雑工程になると「説明」が必要になるが、一工程ずつであれば先輩溶接士の真似をして、繰り返し練習することで習得できることも多い。
 綾瀬市で開催されている溶接競技会で準優勝したフィリピン人技能実習生のジェエネ・リン・パララン・プラドさん(以下、ジェエネさん)。ジェエネさんは同市のソリッド・スチィール工業(福島敏正社長)で勤務している溶接士だ。
 同社では、大手自動車メーカーの特装車両用パーツやエンジン周辺の部品などを、溶接、曲げ、切断、アセンブリーまで、ハンドワークでひとつのものを作っており、「1人の溶接士が最初から最後まで一貫して作業を担当することでつたない言語でのコミュニケーションを極力減らす」という技能教育法を採用している。
 同社の案件には板厚2・3?12?の汎用鋼板が使用されることが多く、搬入した鋼板を曲げ、抜き、溶接、研磨、強度や寸法の検査まで、全行程をジェエネさんも含めて、1人の溶接士が担当する。ジェエネさんは、「日本語を聞き取ることはできても、正確に返答するのはまだ難しい。日本人の先輩技能者と、作業中に日本語でやり取りすると、混乱が生じてしまう。先輩溶接士の手の動きを繰り返し見て、溶接中の音を聞き、鋼板の溶融の状態を感覚で覚えることで、徹底的に真似た。コミュニケーションが必要な場合はメモ帳にイラストを書きながらコミュニケーションを取って溶接を学んだ」と話す。
 Hグレードの鉄骨ファブリケーターである北海道帯広市にある大川鉄工所に勤務し、同社内で開催されている12人が参加した社内溶接競技会で、多くの日本人溶接士を抑えて3位入賞した経験を持つフンさん。
 ベトナム人技能実習生のフンさんは、携帯電話の翻訳アプリに常に開いておくことで、質問内容をベトナム語から日本語に変換してコミュニケーションを取ったという。「溶接は言葉ではなくできるだけ五感で覚えるように努力した。先輩溶接士の動きを見ながら音を聞き、同じように動けるように反復練習を行った」と当時を振り返る。
 3社の取り組みや技能実習生の努力として、「言語の壁は一朝一夕では消えないため、何でカバーするのか」を定めていくことが外国人技能実習生の技術力向上に欠かせないようだ。


提供元:産報出版株式会社

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