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溶接接合業界ニュース

総合車両製作所、溶接結集し車両製造

 溶接の代表的な適用先の一つである鉄道車両。自動車と同様に軽量化を目的にステンレスやアルミなどの様々な素材が使われており、これに合わせてマグ・ミグ溶接、抵抗溶接、レーザ溶接、摩擦攪拌接合(FSW)など、様々な溶接が使われている。日本で初めてステンレス車両を開発し、現在も多くの鉄道車両を製造する横浜市金沢区の総合車両製作所を取材した。
 鉄道車両の主要構造物には大きく分けて、軟鋼を主材料として耐久性が求められる「台車」と、実際に人が乗り耐久性・軽量性・外観の美しさがバランスよく求められる「構体」がある。台車は被覆アーク溶接、マグ溶接。構体は、ステンレス構体の場合は抵抗スポット溶接、レーザ溶接、ミグ溶接、ティグ溶接、アルミニウム合金製構体の場合はミグ溶接、FSW、ティグ溶接を用いて製造される。
 総合車両製作所のものづくりの魅力は「総合力」と「最適化」だ。豊富な技能者や最新機器など適材を適所に配置することで、創業した1946年から多くの鉄道車両を開発してきた。同本社が併設される神奈川工場には1000人以上技能者が在籍し、100人以上の溶接士が多くの接合技術を駆使して車両を製造している。
 鉄道車両を製造する多くの工程の中でも、溶接士の手作業が特に大切となるのは車両の台車だ。9?以上の軟鋼をマグ溶接で接合しており、重要保安部品に該当するため強度が求められる。
 例えば披露強度を上げる工夫として同社では、応力が集中しすぎないようにビード止端部を、被覆アーク溶接で肉盛してからなめらに研摩して仕上げるなどの工程があり、現状、ロボットでは難しい作業のため技能者が手作業で行っている。溶接士の技能が頼りになるため、同社の溶接士は入社後の集合研修と、配属後の溶接教育だけでなく、社内資格を取得した後にJIS検定を受ける。
 また、溶接士の手作業は、極力下向き溶接で行えるように大型構造物であっても向きを変えられるようにジグやポジショナを工場中に設置するなど、作業環境を順次改善している。
 溶接士の作業環境を整える一方で、同社では最新機器も可能な限り導入している。例えば、同社ステンレス製構体は1万点以上の抵抗スポット溶接で接合、溶接ロボットによる自動化に成功した。また、レーザ溶接などの最新技術も導入することで、国外からの受注も増加傾向にある新ブランドの「サスティナ」を開発した。
 同車両の側外板は従来、2枚のステンレス鋼板に、せぎり継手(母材の一部を重ねて溶接する継手の一種)を設け、抵抗スポット溶接で接合してきた。これを、レーザ溶接を駆使することで突き合わせ継手構造とした。せぎり部分にあった凸凹がなくなり外観は洗練され、抵抗スポット溶接による断続的な接合からレーザ溶接による連続した接合となり、高い水密性が生まれるとともに、耐食性・メンテナンスの工数削減にも貢献することができた。
 また、多品種少量生産である車両の製造でありながら、車体構造・機器システム・予備部品などを他車種と共有する「車両の共通プラットフォーム化」に取組んだ製造法のため、コストの低減などに寄与している。
 多品種少量生産と聞くと自動化を諦める事業者、ロボット導入に成功すると技能者数を削減していく事業者が多い中、同社はロボットや最新技術を駆使してできた技能者の時間を、様々な溶接研修をはじめとした技術力の研鑽にあてることで総合力を向上させてきた。ハイブリット車両、EV車両にくわえて、水素エネルギーの車両など、今後も進化が予想される鉄道車両の製造において、同社のものづくりには今後も目が離せない。


提供元:産報出版株式会社

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