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溶接接合業界ニュース

鋼管溶接で技能と自動化が融合

 パイプの溶接には高度な技能が必要になる。その形状から全姿勢の溶接が必要になるほか、真円を確保するための入熱管理や熱影響対策も厳しくなるためだ。その一方、近年の人手不足などを背景に高効率化に対するニーズも高まっている。鋼管への適用を対象に溶接における技能と自動化の両立などを追った。
 空調設備、給排水衛生設備の配管加工並びにユニット製作および設置工事などを手掛ける須藤工業(埼玉県鳩山町、中橋徹社長)は高難易度とされる組合わせ溶接を溶接士による溶接技能と、自動化システムによる溶接の両輪で実施することで高品質の配管加工を実現している。一方で今年に入り、大型鋼管の切断が可能な高速自動パイプ切断機を導入するなど前後工程では自動化・省力化が進み、溶接品質の向上に貢献している。
 同社ではジグによって回転が可能な配管を中心に溶接の自動化が進む。自動溶接においても、高品位の組合わせ溶接を手掛けているのが特徴で一層目をプラズマ溶接で行い、2層目以降を炭酸ガスアーク溶接で接合を行う自動溶接システムを構築している。自動溶接といっても溶融池の状態を溶接士が見極めながら微調整を行う必要があるため、溶接士には熟練した知見が欠かせない。
 一方、ジグによる回転の難しい複雑形状をした配管や大型鋼管などでは溶接士が直接トーチを振るう。一層目をティグ溶接で2層目以降を炭酸ガスアーク溶接で行う組合わせ溶接を適用する製品も多く、同社に所属する溶接士は組合わせ溶接の専門級資格「SC―2P」を取得している溶接士も5人ほど所属するなど技能は高い。
 開先加工の自動化も活発化している。造船、プラント、建設設備の配管を手掛けるアサマ工業(大石満俊社長)は、「人の手による加工では時間がかかる開先加工の自動化を検討。国際ウエルディングショーに出展しているのを見て、最新型のパイプ自動切断機導入した」とする。
 同機は口径650?まで対応し、6軸加工が可能で約30種類の切断形状に対応できるため、高精度の切断加工をワンチャッキングで複数の角度から加工できる。
 「手作業で加工したら時間がかかるとともに、同じ品質を保つことは難しい」するとともに、「パイプだけでなくH鋼などの形鋼や角パイプにも対応しているので仕事の幅が広がった」と同加工機の性能を高く評価する。
 同社では、さらにプラズマ溶接にも同機を活用。品質と生産性を改善。ティグ溶接で20?30分かかったものがプラズマ溶接で3?5分にまで短縮した。
 その一方、同社では「人の手による作業を減らし作業環境を改善し、単純作業は自動機に任せ、自動化できないことを人の手でできるようにしたい」とし、溶接管理技術者認証基準1級など、溶接士の溶接資格の取得などに力を入れる。
 配管工事および鋼管加工を手掛ける近藤設備(岩手県西和賀町、近藤正彦社長)は自動機の導入を進めるとともに、溶接士の教育にも力を入れる。
 同社では、仕入れた鋼管にフランジなどの部材を継手溶接し付加価値を高めた上で、ステンレス連結送水管などの一次加工品として出荷している。使用鋼種は鉄鋼とステンレス鋼がそぞれ50%。
 生産拠点の北上加工センターにはパイプ自動切断機や溶接ロボットが並ぶ。パイプ自動切断機で切断し、バリ取りや焼け取りなどを行う。この後に鋼管の端部に半自動溶接機でフランジを円周溶接で取り付け、気密試験を経て出荷する流れだ。
 同社の溶接士は23人全員が溶接の資格を取得。近藤社長の「事業を拡大し企業を永く存続させるには、スペシャリスト(職人)とゼネラリスト(多能工)の両方を育て、総合力を発揮することが必要」という考えから溶接に限らず、関係する様々な資格の取得を奨励する。特に、溶接は「あらゆる技能の中でも、当社にとって最重要技能」と位置づけており、県溶接技術コンクールへの出場などにより技能者の能力向上を図るなど、溶接士のスキルアップに力を入れる。


提供元:産報出版株式会社

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