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溶接接合業界ニュース

メタル・アート、在庫リスクを溶接技術で強みへ

 現在、工場経営において省人化やファブレス経営といった「持たない工場」への取組みを頻繁に耳にする。そんな中、岐阜県羽島郡の溶接事業者であるメタル・アート(平田敏克社長)は、「金属材料の在庫を常に一定量かかえる」ことで仕事を受注しているという。在庫を抱えることの強みと、持たない工場が増える中で在庫を抱えながら経営を維持する方法を取材した。
 岐阜県羽島郡で、建設用の化粧壁の施工などを軸に溶接事業を展開するメタル・アート(平田敏克社長)では、主にティグ溶接を駆使して、板厚0・6―3ミリの鋼・アルミ・ステンレスに対応している。
 同社の強味は金属板の状態から溶接・板金、組み立て、出荷、一部取付けまでを一貫して対応できる点だ。従業員15人、溶接士5人という小規模事業者でありながら、建築分野の大型構造物に対して幅広い一元対応を可能にしている理由は「在庫を抱える」という独自戦略によるところが大きい。
 建築物は一棟一棟が異なるため多品種小ロットでありながらも強度が重視される仕事が多く、化粧壁は仕上げの精度が大切とされる。在庫をリスクと捉えて極力減らすようにする工場が多い中、同社ではアルミ、ステンレス、各種鋼板などの在庫を常に豊富に取り揃えることで、短納期かつ一元的に対応している。在庫があれば材料を発注してから納品するまでの時間を、作業に充てることができるため、少人数であっても高精度の溶接施工を短納期で行うことができる。
 しかし、建築物で使用する素材はクライアントの希望に沿うために、限定することができないため、常に幅広く在庫を持ち続けなければならない。同社で過剰在庫を防いでいるのが、個人宅の「手すり取り付け」などのBtoC案件の積極的な受注だ。化粧壁にくわえて、外壁や水廻りの金属製品、公共施設から住宅の手摺りなど、幅広く案件を請け負うことで、工場内の在庫に適した用途は見つかり流動的な対応を実現した。
 同社の溶接業務で難易度が高いのはアルミ溶接だ。化粧板は一般的に軽量素材のアルミを使用しており、持ち運びや天井のような持ち上げるのが困難な高い部分を施工するには優位性があるものの、溶接の難易度は他の金属より格段に高い。熱伝導率が高いため、アルミは一度溶融が始まると、溶融速度が上がり続けるため、溶接士は溶接速度を徐々に早めていかなければいけない。同社の魅力は在庫をかかえるというユニークな戦略で案件を獲得するだけでなく、溶接士全員がアルミ溶接をはじめ様々な案件に対応できるだけの技能力があることだ。
 同社は今年、溶接工場をテーマパーク化するという「アイアン・プラネット・プロジェクト」に参加し、年内の開所を予定している。平田社長は「参画を決めたのは3点の理由があり、1点目は溶接に子供の頃から触れる機会を作ることで近未来に技能者獲得に繋がると考えていること。2点目はBtoCビジネスも手掛けているため、小さな子供連れの家族は顧客にもなりうること。3点目は従業員をワクワクさせるためだ。家族の笑い声など直接顧客と触れ合える機会を増やすことは、従業員のやりがいにもつながる」と話す。


提供元:産報出版株式会社

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