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溶接接合業界ニュース

外国人溶接士の現状分析・特定技能1号で溶接が大きな割合

 外国人溶接士が日本のものづくり産業で大きな役割を果たしている。特定技能1号残留外国人をみると、造船・船用工業、素形材産業、産業機械製造業で100人を超え、業務区分で最も大きな割合を占める。また、厚生労働省によると、外国人労働者の数はこの10年で約3倍にも増加している。ただ、溶接は専門性の高い職種であることから技能教育が必須であり、言葉の違いなどによる職場のコミュニケーション、文化ギャップの克服など課題は多い。外国人溶接士の現状に迫った。
 外国人溶接士の多くは「技能実習生」と外国人建設就労者や外国人造船就労者などに基づく「特定活動」とみられるが、厚生労働省の「外国人雇用対策の在り方に関する検討会中間取りまとめ」によると、2020年10月現在の技能実習生は40万2000人で10年前(13万人)の3倍以上増加している。
 「特定活動」は、同4万6000人。このうち出入国残留管理庁による特定技能1号残留外国人(=一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる制度、2020年3月末現在3987人)の産業分野別溶接業務者数をみると、素形材産業は149人(構成比34・1パーセント)、造船・船用工業142人(同91パーセント)、産業機械製造業134人(同31・3パーセント)、電機・電子情報関連産業2人(同1・1パーセント)で、合計427人(同10・7人)となる。
 技能者の仕事の主力が溶接である造船で外国人溶接士が多いのは理解できるが、鋳・鍛造、金属プレス加工、機械加工が中心となる素形材産業や産業機械製造業でも溶接士の数は、業務区分中唯一100人を上回る圧倒的な人数で最大の構成比を占めている。ちなみに溶接に次いで多いのは、金属プレス加工で素形材産業が78人(同17・8パーセント)、産業機械製造業が52人(同12・1パーセント)である。
 さて、2019年に創設された外国人労働者受け入れのための新たな残留資格「特定技能」制度により、技能実習生は「3年で帰る人材」から「中長期的に活躍する人材」に変わった。このため外国人技能評価試験の専門級受験者数も増加傾向にある。技能実習期間を2年間延長できる技能実習3号の資格を持つ板金加工業者の技能実習生は「溶接は日本に来る前から勉強していた。特定技能に移行して日本でできるだけ長い期間活躍したい」などとする。中には「日本で得た賃金を元手にして母国で事業を始めたい」とする声も聞かれるが、技能実習生からは溶接士として日本で働くことに前向きな意見の方が多き聞かれる。
 外国人溶接士を受け入れるに当たり、大きな壁となるのは、言葉や職場でのコミュニケーション、文化の違いだが、これについては受け入れ企業に様々な取り組みがみられる。溶接士の9割が外国人という内山製作所(群馬県館林市)は3年以上続けて外国人技能実習生を受け入れることで信頼関係互いに信頼関係を築き、言葉が通じないときになどは、ベテラン実習生に間に入ってもらうなどにより、仕事をスムーズに回しているという。
 従業員の7割が海外にルーツを持つという赤原製作所(神奈川県座間市)はチームワークの良さを強みとする。年齢や出身地に関係なく意見を言える社内環境の構築、納得するまで話し合うことのできるチームワークで言語や文化の違いを乗り越えているとする。
 もちろん、外国人溶接士とのコミュニケーションを取りやすくする手段の一つとして、日本語教育に力を入れる企業もある。フジムラ製作所(埼玉県川口市)は、ベトナム人を中心に受け入れているが、ベトナム人の通訳者を講師とする日本語教育講座を定期的に開催している。
 現在、日本の企業には働き方改革が求められているが、外国人溶接士がものづくりの現場に欠かせない戦力となるなか、外国人溶接士の確保・定着を維持するために外国人が働きやすい環境づくりも求められてきている。


提供元:産報出版株式会社

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